伊坂さんとこ行ってきた。

朝から仙台へ。思えばこの街とも長いお付き合い。初めて伊坂幸太郎さんに会いに来たのが、おそらく2003年のことだから、公私様々な用事で10年以上も通っていることになる。

この日、伊坂さんとの打ち合わせを終えたあと、少し時間が空いたので周辺をぶらついてみました。いろんなことを思い出すけど、昔このあたりで飲んでた連中は元気なのかな?

20140528

間もなく、ここ2年ほど仕込んでいた企画が発表できそう。今回はその最後の仕込みために、仙台へ来ました。

 

おかえりなさい、袴田さん。

あまり知られていませんが、5月19日は実は「ボクシングの日」。毎年、後楽園ホールでは歴代のチャンピオンや著名選手が集まって、ちょっとしたファンイベントを催しています。日本人初の世界チャンピオン、白井義男がタイトルを奪取した日にちなんでいるため、高い確率で平日開催を強いられ、客入りは例年いまひとつでしたが…。今年は大きな目玉が。釈放された袴田巌さんの登壇(リングイン)です!

袴田事件といえば、世界からも注目されてきた冤罪事件。超簡単に説明すると、1966年に静岡県で発生した一家惨殺事件の犯人として、たいした証拠もないまま「元プロボクサーだと? じゃあろくなもんじゃあるまい、犯人はお前だ」としょっぴかれてしまったのが袴田さんでした。獄中から無実を訴え続けるも、1980年には非情にも死刑判決が確定。ところが、調べれば調べるほど袴田さんを犯人だとする根拠に辻褄の合わないことが多々見受けられることから、「これはボクサーに対する偏見であり、人権侵害だ!」と、ボクシング界は長年、袴田さん支援のために尽力し続けてきた経緯があります。

先頃の再審決定⇒釈放というのは、まさしく歴史が動いた瞬間であったわけで、ボクシングの有力団体の1つであるWBCからは、名誉チャンピオンベルトが授与されることに。この日、多くのファンやマスコミの前で、袴田さんは元気な姿を見せ、誇らしげにベルトを受け取ったのでした。いやあ、本当に素晴らしいシーンに立ち会えたことに感激!

…ただ、個人的には袴田さんの釈放を、「逆転KO!」などとボクシングに絡めて報じる姿勢には疑問が。確かに釈放は喜ばしいことだけど、袴田さんは20代からの約半世紀を、完全に奪われたままであり、それは2度と戻らないもの。KO勝ちだなんて手放しで喜べない自分がいます。

20140519

長い時間を獄中で耐えるうちに、認知症を患った袴田さん。しかし、今日このイベントに出席するため入院先に提出した外出届には、袴田さん自ら「後楽園に帰る」と記入したとか。これには思わず落涙。

 

奥多摩の仙人。

拙著『怪しい噂 体験ルポ』にも少し書いてますが、数年前からライフワークで「霊能者ミシュラン」というのをやってます。

要は、「私には不思議な力があります」と言ってる人たちに片っ端から会いに行き、実際に視ていただこうという取り組みなわけですが(※ただし占いは除く)、これは決して冷やかしなどではなくて、“そういう能力”が存在することを信じたいからこそ、問答無用の説得力を求めて北から東まで行脚している次第。『怪しい噂 体験ルポ』の中でもとりわけ評判が良かったこともあり、これを某メディアで連載する準備を進めています。

というわけで、この日は某女流作家さんの仕切りにより、奥多摩まで。詳細はここでは控えますが、先祖と会話ができるという、通称「仙人」に会いに行きました。2人の編集者を交えた計4人で出向いたことがひとつのポイントだったような…。

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仕事のようでいて、そうでもないような旅。

 

BAR TOMIO@長崎県長崎市

長崎2日目はあいにくの土砂降り。とくにやることもないので、市内を少し観光してまわったのだけど、それよりも昨夜ふらりと立ち寄ったBARがとても良かった。店名を「TOMIO」という。

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入店すると、わりとご年配の、しかしとっても品のいい夫婦がカウンターに。こうしたショットバーを夫婦で営んでいるのは、都内ではあまり見かけないので、BARの風景として新鮮。

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カルバドスをいただいたのち、ジャックローズへという僕にとって定番の流れ。シェイカーを振るバーテンさんの所作が、なんというか、パワフルでもスピーディーでもないのに、ものすごく洗練されていて美しい。キャリアによってしか体現できない動きで、それだけで酒のつまみになりそう。聞けば、今年でキャリア50年だという。実に、半世紀だ。

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「TOMIO」というからには、お名前が“富夫さん”かと思いきや、姓が“富尾さん”らしい。
ちなみに「NAGASAKI」というカクテルもいただいてみた。オリジナルなのかな? 美味かった。

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大変に居心地のいい空間で、これはぜひリピートせねばと意気込んだものの、来年3月に閉店の予定だという。「繁盛してるのになぜ?」と思ったけれど、「50年やったから、もういいでしょ」と言われると、返す言葉が見つからない。もともと、最後の10年を過ごすつもりで9年前に開いたお店なのだそう。うーん、もっと早く出会いたかった!